企業会計には、管理会計と財務会計という2つの重要な柱があります。これらは目的や対象者が異なり、企業経営において異なる役割を果たしています。
本記事では、管理会計と財務会計の違いを詳しく解説していきます。
こちらの記事は次のような方におすすめです。
- 「管理会計」とは何かを知りたい
- 「財務会計」とは何かを知りたい
- 管理会計と財務会計の役割や特徴を知りたい
- 企業経営や会計を学習したい
管理会計と財務会計の違い
管理会計と財務会計の違いを次の8個の項目にまとめました。
| 項目 | 管理会計 | 財務会計 |
|---|---|---|
| 目的 | 経営管理と意思決定 | 財務状況の報告 |
| 義務の有無 | 任意 | 法的義務あり |
| 形式(書式) | 任意のレポートや資料 | 会計基準に準拠 |
| 情報の種類 | 未来の情報 | 過去の情報 |
| 測定単位 | 金額・数量(件・個)などの任意 | 金額 |
| 対象期間 | 任意(日次・週次・月次など) | 会計期間(原則1年。上場企業は四半期ごと) |
| 報告対象 | 社内(経営者・管理者・従業員など) | 社外(投資家・債権者・税務署など) |
| 担当部署 | 経営企画部や戦略部署など | 財務部、経理部など |
目的
管理会計は主に経営管理のために行います。
管理会計を導入して、経営者は経営の意思決定に必要な材料を集めます。
意思決定に必要な材料とは、売上や費用の構成など経営判断に有効な情報のことで、会社によって様々あります。
一方で、財務会計の目的は、利害関係者に向けて情報提供するために行います。
利害関係者とは、株主や投資家、あるいは債権者を指します。
義務の有無
管理会計は、各企業が任意で導入しています。
財務会計は、会社法や金融商品取引法、税務申告などのために作成が法律で定められています。
情報の種類
管理会計は、計画や予算の作成を通じて、部門や事業の業績といった過去の情報に加え、計画や予算を通じた未来の情報を扱います。
財務会計では、過去の企業の活動の結果を一般に公正妥当と認められた会計基準に基づいて作成します。
測定単位
管理会計では、金額のみならず、分析に必要な要素を扱います。
例えば、個数や件数、または時間などの単位を扱います。
一方で、財務会計では金額を扱います。
対象期間
管理会計では、任意の集計期間を定めることができます。
財務会計では、基本的に1年と定められた会計期間ごとに作成が行われます。
上場会社では、四半期ごとの開示が求められています。
報告対象
管理会計の報告対象者は、主に経営者や管理部門の責任者です。
財務会計の報告対象者は、上述した株主、投資家、債権者、または税務署などの機関です。
担当部署
管理会計は、主に経営企画部や戦略部のような部署が担当することが多いです。
財務会計は、経理部や財務部が担当するケースが多いです。
規模の小さい会社では、管理会計と財務会計を一つの部署で担うこともあります。
また、小規模事業者の場合、財務会計の実務については顧問の会計事務所や税理士事務所に委託する場合もあります。
管理会計の業務について
管理会計は、経営者や管理者が意思決定を行うための重要な取組みです。
一般的には、以下の業務があります。
- 予実管理
- 原価管理
- 資金繰り
- 経営分析
予実管理
予実管理は、予算と実績を比較・分析し、差異の原因を特定して改善策を講じる業務です。
具体的には、予算の策定、実績の集計、差異分析、対策立案などを行います。
予実管理により、経営計画の進捗状況を把握し、迅速な軌道修正が可能になります。
原価管理
原価管理は、製品やサービスの原価を適切に把握・管理し、収益性を向上させる業務です。
主な活動には、標準原価の設定、実際原価の計算、原価差異の分析、原価低減策の立案などがあります。
原価管理を通じて、コスト構造を明確化し、効率的な経営資源の配分を実現します。
資金繰り
資金繰りは、企業の現金の流れを管理し、必要な資金を適切なタイミングで確保する業務です。
具体的には、資金繰り表の作成、キャッシュフローの予測、資金調達計画の立案などを行います。
適切な資金繰り管理により、支払い遅延や資金ショートを防ぎ、安定した経営を維持できます。
経営分析
経営分析は、財務諸表や各種経営指標を用いて企業の経営状況を多角的に分析する業務です。
主な分析手法には、収益性分析、安全性分析、成長性分析などがあります。
経営分析を通じて、企業の強みや弱み、改善すべき課題を明確化し、戦略的な意思決定に役立てることができます。
これらの業務を通じて、管理会計は経営者や管理者に対して、タイムリーで有用な情報を提供し、効果的な経営判断をサポートします。

財務会計の業務について
財務会計は、企業の財務状況を外部に報告するために使用されます。
以下のような業務があります。
- 決算書の作成
- 税務申告の準備
決算書の作成
財務会計の最も重要な業務の一つが、決算書の作成です。
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表を作成し、企業の財政状態と経営成績を明確に示します。
これらの書類は、投資家、債権者、税務署などの外部利害関係者に提供される重要な情報源となります。
税務申告の準備
財務会計の業務には、法人税などの税金計算や確定申告書の作成も含まれます。
決算書をもとに課税所得を算出し、適切な税額を計算して申告する必要があります。
財務会計の2つの機能
財務会計には、主に利害調整機能と情報提供機能という2つの重要な機能があります。
これらの機能は、企業の財務状況を外部の利害関係者に適切に伝え、企業活動の透明性を確保する上で重要な役割を果たしています。
利害調整機能
利害調整機能とは、企業に関わる様々な利害関係者間の利害を調整する役割を果たす機能です。
企業の経営活動には、株主、経営者、債権者、従業員、取引先、国など多様なステークホルダーが関わっており、それぞれが異なる利害を持っています。
例えば、以下のような利害の対立が生じる可能性があります。
- 株主と経営者の間:配当政策や役員報酬をめぐる対立
- 株主と債権者の間:利益の配分や資金の使途に関する対立
- 企業と国の間:税金の納付に関する対立
財務会計は、これらの利害関係者に対して公正かつ透明性の高い財務情報を提供することで、利害の調整を図ります。
情報提供機能
情報提供機能とは、企業の財務状況や経営成績に関する情報を、外部の利害関係者に提供する機能です。
この機能により、投資家や債権者などのステークホルダーは、企業の財政状態や経営成績を適切に評価し、意思決定を行うことができます。
情報提供機能の主な役割は以下の通りです。
- 投資判断の情報提供:投資家が企業価値を評価し、投資の意思決定を行うための情報を提供します。
- 融資判断の情報提供:金融機関が企業の返済能力や収益力を判断するための情報を提供します。
- 経営の透明性確保:企業の財務状況を公開することで、経営の透明性を高め、信頼性を向上させます。
例えば、決算書類(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)を通じて、企業の資産、負債、純資産の状況や収益・費用に関する情報を提供することで、利害関係者が意思決定しやすくなります。
管理会計と財務会計のつながり

上記の図は、管理会計と財務会計のつながりを説明したものです。
この2つは、異なる分類ではなく、業務としてつながっているものだと考えています。
上述でご紹介した会計帳簿を作成するために、経費精算や、給与計算、請求書の業務処理などを行ってます。
これらの企業活動の結果が、会計に集計され、その結果をもとに予算管理や業績分析などの管理会計につながっていきます
これが財務会計から管理会計の流れだと言えることができます。
企業経営における管理会計と財務会計のメリット
管理会計を活用するメリット
管理会計を導入することで、以下のようなメリットが得られます
- 業務効率改善のための課題が把握できます。
- タイムリーな経営判断が可能になります。
- 正確な原価を把握しやすくなります
- 部門ごとの採算性を把握できます。
- 計画策定によって将来の見通しやすくなります。
財務会計の重要性
財務会計は、以下の理由から企業にとって不可欠です
- 投資家や債権者に信頼性のある情報を提供できます。
- 企業の財務状況を客観的に評価できます。
- 税務申告の基礎資料となります。
まとめ
管理会計と財務会計は、それぞれ異なる目的と役割を持っています。
両者の違いを理解し、適切に活用することで、より効果的な企業経営が可能になるでしょう。

管理会計は、財務状況の分析や将来の予測をするためのもの。
企業それぞれのやり方があり、正解はないと考えられますね!

ただ正解がないからこそ、Excelやスプレッドシートを活用して企業独自の管理になるところがポイントです。
管理会計でよくあるお悩みとしては、以下のようなケースがあります。
- 経営指標が多く、頻繁に変更される
- 部門ごとにオリジナルのファイルを持っており、管理が煩雑
- ファイルの関数が複雑で属人化してしまう
こうした課題を解消し、管理会計業務をより効率よく、正確に行うためにはシステムの活用が効果的です。
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